No.1  イギリスで犬と暮らすということ。

 

 

第1回のコラムは、イギリスのお話。

  

さかのぼること数年前、イギリスへ行こうと思い立った時に考えたのは、私は何ができるだろう?ということでした。 

イギリスの大学で資格を取得したり、有名なトレーナーさんの元で学んだり、既にイギリスで犬のことを学んで活躍されている諸先輩方がいらっしゃる中で、私は何がしたいんだろう?と考えた時に素直に思ったのは、

 

  

  自分の犬といっしょに暮らしてみたい!

  

  

でした。

  

欧米の犬文化は格段に進んでいると言われ、勉強し憧れていたものの、何かピンとこない。

実感がないと言ったらよいだろうか。すばらしいのはわかるけれど、日本にしか住んだことがない私にとっては、完全なる別世界。頭で理解はできても、心では理解できなかった。

だから、学校に行って学ぶとかそんなんじゃなくて、街を歩いて、現地人として生活して、肌で感じてみたかった。

  

  

そんな想いで始まった、2人と1匹のロンドン生活。

  

 

 

最初にでかけたのは、Hampstead Heath。

 

まず犬文化を感じるなら、公園でしょ!と勇んでお散歩を始め、

すぐに感じたのが、「公園に対する想い」の違い。

  

ロンドンには、とにかくたくさんの公園があります。

日本と同じように、小さな児童公園もあるけれど、1周したら1時間以上(時には3時間以上、もしくは1周などできやしないくらい!)かかるような大きな公園があちらこちらにあるのです。

  

  

そして、公園が大好きなロンドンっ子たち。

  

ベビーカーを押しながらおしゃべりして歩く若いご夫婦、

ブランケットを広げてピクニックするファミリー、

お気に入りのベンチで、毎日いつもの景色を 眺めるおじいさん、

芝生に寝転んで語らうカップル、

久しぶりの親子会議なのか、男同士、父と息子で並んで歩く親子、

友達といっしょにジョギングしたり、時にはサッカーしたり、

そしてもちろん、犬といっしょに長靴で散歩する人たちも。

  

夏が短い北国ならではなのかもしれません。

太陽が顔を出したら、外にでなくちゃもったいないと言わんばかり。

散歩するということが本当に好きな方が多くて、驚きました。

  

そして、この恋人や家族と過ごす公園での時間を

みんながとても大切にしているように感じたのです。

 

  

故人をしのぶメモリアルベンチもたくさんあって、

この場所が好きだったり、毎日ここに来ていたというメッセージが並びます。

毎日同じベンチに座り、同じ景色を眺めるのが、最高の贅沢。

 

かくいう私も、公園の隅々まで探検したくて、今日はこっち行ってみようよ、今日はあっち行ってみようよ、と愛犬を引っ張りまわし、私の散歩につきあってもらった訳ですが、

1年8ヶ月毎日のように来ても、全く飽きない程、四季の移り変わりでいろんな発見をさせてくれるこの公園が大好きでした。

   

 

  

決して、犬のために仕方なく散歩しているのではなく、

散歩が好きだからそれにつきあってくれる犬がほしい、という表現の方が合っているのかな。

  

公園の風景の中に、こんなにも犬が自然に溶け込んでいて、

もし犬がいなければ、公園じゃない、と思える程その一部になっていて、

毎日いっしょに行動するから、自然と見えない絆ができていて、

  

あぁ、イギリスの犬文化は進んでいるって言われるのは、

 

しつけのレベルが高いとか、

犬についての科学が進んでいるとか、

そんなんじゃなくて、

  

「犬といっしょに暮らす」ということが、彼らのライフスタイルに合っている

  

っていうことなんじゃないかなぁ、と肌で感じたのでした。

  

 

散歩好きだから、犬ともうまくいく。

あくまでも私の持論ですけど。

 

 

May, 2011

 

 

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