No.2  'Good girl' より 'Thanks!' な気分。

 

 

前回は、イギリスではなぜこんなに犬が溶け込んでいるのか、私なりに感じたことを書きましたが、

実は最初の頃、公園に行く度、心底彼らがうらやましかったんです。

  

私も犬と散歩しているのだけど、何だかお互いバラバラで、

指示をすれば来てくれるけど、OKと言えば好き勝手どこかに行ってしまう。

  

方や、地元の皆さんは、散歩中に何か指示の言葉をかけるなんて、無粋なことはほとんどせず、

ただただのんびりいっしょに歩いて、四季の移り変わりを楽しんでいて、

そこには、リードでもない、言葉でもない、見えない絆が見えるようで、とてもとてもうらやましかった。

  

なんてゆったりとした時間が流れているんだろう!

 

 

公園を散歩したり、カントリーサイドへ旅行に出かけたり、

毎日いっしょにいろんな所を歩き続けた1年と8カ月。

ふと気づくと、そんな絆が私たちにもできていました。

  

何か特別なトレーニングをしたか?というと、そんなことはなくて。

  

犬ではなく、私が変わったのだ、と気づく。

  

オフリードで歩いている責任からか、以前よりももっともっと犬を観察するように。

そして、自分の指示に従わせる前に、犬の声に耳を傾けるように。

  

  

何のにおい嗅いでるの?あぁ、誰かがそこでマーキングしたのね。

今日は気分がいいね。

水たまりは好きじゃないの?

あの犬は気になる?あいさつしたい?

もしかして、坂より階段が好き?

その草おいしいの?

かわいいって言われたね。うれしいかったね。

  

リード付でのお散歩は、犬も自由にできないことを知っているから、あまり何もしない。

でも、オフリードだと、いろいろなものに興味を持って、いろんなことを考えているのがよくわかる。

  

毎日こうした言葉のない会話を繰り返す内、犬も表情豊かになりました。

そして、自由気ままだった犬が、私の行動をよく観察し、私の声に耳を傾けてくれるようになり、

私が塀の向こうを見ていると、自分も見ようとしたり、同じものを見たいという気持ちが芽生え、

  

犬も変わってきたのです。

 

  

今までの「ごめんね。」の分も合わせて、犬にかける言葉は自然に変わりました。

型通りの "いい子" や "Good girl" ではなく、

 

  Thank you!

 

に。

  

 

遅い私を、待っててくれたんだね。ほんとはもっと早く先に行きたいのにね。

本当はあっちの道に行きたかったのに、私の差した方を選んでくれたね。

ピクニックのサンドイッチが気になったのに、よく我慢したね。

もっとにおいかぎたかったのに、途中でやめて戻ってきてくれたね。

  

決してワガママ勝手に歩いている訳じゃない。

いろいろ私に合わせてくれてるんだよね。

ありがとね。

  

  

早く行くよ!

汚いから、におい嗅いじゃダメ!

何でそっち行くの?

  

昔の私は、ちゃんと気づいてあげられてたかな。

NO、NO、NO! な毎日になってなかったかな。。。

  

  

犬の気持ちがわかるように、ボディランゲージの勉強をして、ある程度の「型」を覚えることも重要だけど、

イギリスで出会ったトレーナーさんに、

犬が何を見てるのか、

犬が何を聞いているのか、

犬が何のにおいをかいでいるのか(これだけはわからないけれど・・)、

いっしょになってのぞき込んでみることを教わりました。

  

毎日いっしょにいるのに、毎日いっしょにいるから、どうしてもわかったつもりになってしまう。

犬だって日々成長していくから、毎日新しい発見があるのにね。

  

  

  

それからというもの、お散歩は私にとって1日の中で一番大切な時間になりました。

リードでもなく、言葉でもなく、見えない聞こえない私たちだけの会話をしながら歩く、いとしい時間。

  

日本では環境も違うから、少しやり方は変わってくるけれど、

リードの問題じゃなくて、いつでもどこでもできること。

  

今日もどこかで会話している私たち、見かけたらぜひ声をかけてください。

(時々私が1人でしゃべってますけど、あやしい人ではありません〜)

 

 

May, 2011

 

 

 

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